Adult Children

ACとは?

  

ACは Adult Child of Alcoholics(ACOA)、あるいは Adult Child of Dysfunctional Family(ACOD) の略で、1970年代にアメリカのソーシャルワーカーたちにより使われ始めた概念です。アルコール依存症の親をもつ子供たちは、「いい子」「やさしい子」「しっかりした子」が多いのですが、大人になって生きづらさを感じ、アルコールや薬物に依存したり、うつ状態におちいる場合があります。こうした傾向を説明するのにAdult Child of Alcoholicsという用語が用いられました。

1980年代後半には、ACの概念がアルコール依存症の親をもつ子供(ACOA)から、機能不全家族に育った子供(ACOD)へと広がっていきました。

機能不全家族とは、仕事中毒やギャンブル依存、教育ママ、嫁姑関係の確執、親の長期不在など、子供が安心して育つことのできないような緊張をはらむ関係を指します。こうした家庭の中で育った人たちはACOAと共通の生きにくさを抱えていることが知られるようになりました。

機能不全の家庭は以下のような暗黙のルールに支配されています。 

1.問題について話してはいけない
2.感情を率直に表現してはいけない
3.いい子にならなければ愛されない
4.自分勝手な子は愛されない
5.ありのままの自分には価値がない

こうしたルールの中で作られる人間関係は、「他人から必要とされたり、評価されることで初めて自分の存在価値が認められる」といった共依存的なものであり、ありのままの自分を表現ができず、なにげない人間関係がストレスとなる傾向が生まれます。ここで西尾が示した共依存の特徴を挙げてみます。

    

 

・ 自らを犠牲にして相手を助けたり世話をしたりする

 

・ 相手の行動や感情をコントロールしようとする

 

・ 問題や危機が起っているような状況や人間関係に身を置きやすい

 

・ 依存心が強く、一人でやっていけるという自信がない

 

・ 考え方、視野が狭い

 

・ 現実や事実の否認をする

 

・ 自己主張する事ができない

 

・ 相手と自分との境界線がはっきりしない

 

・ 自分のからだからでるメッセージに気がつかない

 

・ 怒りの問題をもっている

 

・ 忍耐強く待つことができない

 

・ 罪の意識によくおそわれる

 

・ 過去の間違いから学ぶことができない

 

・ 被害者意識にとりつかれる

 

・ 自分に対して害があるのに、波風をたてないようにする

 

・ 愛情としがみつきを取り違える

 

・ 権威者を恐れる

 

・ 理想論や道徳論にとらわれる

 

・ 相手の気分を敏感に察して、先へ先へと頭を働かせる

 

・ 嘘をつかなくてもよいときに嘘をつく

 

・ 自尊心が低い

 

共依存は「他人の要請にしたがって生き、他人を愛情という名で支配すること」と定義されますが、これらはACを自覚されている方々の人間関係の特徴を端的に表しています。

次にジャネットウォイティツが示したACの特徴をみていきましょう。

 1

ACは何が正常かを推測する(「これでいい」との確信が持てない)

 2

ACは物事を最初から最後までやり遂げることが困難である

 3

ACは本当のことを言った方が楽なときでも嘘をつく

 4

ACは情け容赦なく自分に批判を下す

 5

ACは楽しむことがなかなかできない

 6

ACはまじめすぎる

 7

ACは親密な関係を持つことが難しい

 8

ACは自分にコントロールできないと思われる変化に過剰に反応する

 9

ACは他人からの肯定や受け入れを常に求める

10

ACは他人は自分と違うといつも考えている

11

ACは常に責任をとりすぎるか、責任をとらなすぎるかである

12

ACは過剰に忠実である。無価値なものとわかっていてもこだわり続ける

13

ACは衝動的である。他の行動が可能であると考えずにひとつのことに自らを閉じこめる

※ジャネット・ウォイティッツ(ACOAの特徴)より

これらの特徴をみていくと、ACが決して特殊な問題ではなく、現代に生きるわれわれにとって多かれ少なかれ共感し得る問題である事がわかると思います。

 ACは病気ではなく、自分の問題を見直すためのひとつの考え方です。ですからこの問題を自覚したからといって悲観的になったり、精神科を受診する必要は全くありません。むしろ成長の第一歩と考えられます。しかし前述したように、コミュニケーション不全から様々な嗜癖問題や鬱病が生じる可能性があり、そのような場合には専門医療機関を受診する必要があります。

 ACの成長に必要なのは、自分の中にある怒りや悲しみを吐き出す事のできる「安全な場所」との出会いです。ACの問題に理解のあるカウンセリングルームやACODAのような自助グループがその役割を果たすと考えますが、自分にとって侵入的であると感じる場合は躊躇せず、次の場所を探すべきです。

 安全な場所の中で、自分の欲求に気づき、それを大事にしていこうと考える事により確実に自尊心は高められます。そして最終的な目標は新たな対人関係パターンの獲得であり、それは親密性という言葉で語られます。親密性とは、不安と支配欲に束縛されない関係で、必要な時に繋がり、そうでない時には離れることができる流動的な関係の事をいいます。親密な関係が築けた時に初めて、ACを自覚されている方々が感じてきた「わたしはここに存在していいのだろうか?」「私は愛されるべき存在ではない」といった、不安や孤独から解放されるのだと思います。

 

 

 

 

 

うに努・・